これまで日本では、離婚後の親権は父母のどちらか一方にしか認められない「単独親権」が原則でした。
しかし、新たな制度では、一定の条件のもとで離婚後も父母がともに親権を持つことが可能となります。
今回は、共同親権の制度の特徴と問題点を解説します。
共同親権とは
共同親権とは、離婚後も父母の双方が子どもの親権を持ち続ける制度のことです。
従来の日本の民法では、離婚後は「単独親権」が原則で、どちらか一方の親しか親権者になれませんでした。
しかし、2024年の民法改正により、一定の条件を満たせば離婚後も父母がともに親権を行使できるようになります。
親権の内容は、今までどおり「身上監護権」「財産管理権」の構成です。
共同親権の制度の特徴
以下、共同親権の制度の特徴を確認していきましょう。
日常生活は監護親が単独で判断できる
改正民法824条の2によれば、日常的な育児や教育に関する行為や、緊急時の対応は、監護親が単独で判断・実行できます。
離婚後に子どもと同居している親が、普段の生活や教育方針について柔軟に対応できるという仕組みです。
重要な決定には両親の協議が必要
一方で、子どもの将来に大きく関わる重要な事項については、原則として父母双方の合意が必要となります。
具体的には以下のようなケースが該当します。
- 住居の変更
- 進学や就職など進路に関する重要な判断
- 心身に重大な影響を及ぼす医療行為の決定
- 預金口座の開設・財産の管理など
「日常生活を超える重要な決定」に関して、両親の意見を尊重し合いながら決定する必要があるのが、共同親権の特徴です。
共同親権の問題点
共同親権の問題点として挙げられるのは、父母の意見が対立した場合の判断が難しい点です。
共同親権では、子どもの転校や進学先の決定など、重要な事項については両親の合意が必要となります。
しかし離婚後の関係が良好でない場合、意見が対立し、話し合いが進まないケースもあるかもしれません。
合意が得られないと、最終的には家庭裁判所が判断することになりますが、その間に手続きが遅れる可能性があります。
また、DVや児童虐待があった家庭で共同親権を適用すると、加害者が「親権者」として影響力を行使してしまう危険性も否定できません。
まとめ
共同親権制度は、「離婚後も両親が協力して子どもを育てる」という理念のもと導入された、新しい親権のあり方です。
子どもが離婚後も父母の双方と関係を保ちながら成長できる点に、大きな意義があります。
しかしその一方で、制度運用上の課題も多く残されています。
離婚・親権に関して不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談してください。




