離婚時には、お金のことだけでなく、子どもについても争うことになります。
特に、親権をどちらかが持つのかについて争うケースは少なくありません。
しかし、一般的には、育児において母親の役割が大きいとされ、母親が親権を持つことになるケースが多いです。
このような事実は存在しますが、父親が親権を取れる可能性はゼロではありません。
ここでは、離婚時に父親が子どもの親権を取るためにはどうすべきかについて解説します。
■親権者を決める流れ
まずは、親権者が決定される流れについて見ていきます。
・夫婦間の協議
基本的に、まずは夫婦間で話し合うことから始めます。
日本の離婚の多くは、夫婦間の話し合いで成立する協議離婚です。
手続きが少ないことがメリットと言えます。
しかし、互いに親権を主張することになると、感情的な議論になってしまうことが多く、夫婦間の協議だけでは決まらないことが多いです。
弁護士に代理人として同席してもらい、サポートを受けることも可能です。
・調停
話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を利用することになります。
調停は、調停委員が夫婦の間に入って話し合いを進め、具体的な決定を行っていく手続きのことです。
ここでは、調停委員が互いの主張を整理しながら、時には調査官が調査を行い、互いに納得できる解決策を模索することになります。
双方が納得できれば、調停は成立となります。
ここでは、調停委員に自身の考えを適切に伝えることが重要になります。
弁護士が代理人として出席し、サポートすることも可能です。
・裁判
調停が成立しない場合は、離婚訴訟へと移行し、裁判で親権争いをすることになります。
そこでは、基本的に調停の際の調査を基に、裁判で客観的な判断が下されます。
■親権を得るための条件
前提として、親権には子どもの身の回りの世話をする身上監護権と子どもの財産を管理する財産管理権の2つが含まれます。
そして、親権をどちらかが有するかを検討する際に、重視されるのが子の福祉です。
具体的には、親権者としての適性があるか、子どもを育てるのに十分な時間とお金があるか、子どもはどのような意思表示をしているかなどが判断材料になります。
つまり、子どもの利益を総合的に鑑みて、最終的に判断されることになります。
そのため、親権争いで父親が勝つ場合は、母親よりも父親が親権を持つ方が子どもの利益に繋がると判断されるようなケースです。
■父親が子どもの親権を取るためのポイント
次に、上記のことから父親が親権を取るためのポイントをご紹介します。
・これまでの育児の実績について
子どもの親権をどちらかが有するかという判断において、子どもの育児が適切にできるかどうかという点が重視されます。
そのため、今まで育児に積極的に参加してきたという実績や、母親が育児放棄していたり、DVをしていたりなど積極的ではないということを主張すると親権を得られる可能性が高まります。
具体的には、離婚前に別居する夫婦が多いですが、そのような時期に子どもを引き取り、安定的に生活を営むことができていたという実績があれば、父親側に有利に働くことが多いです。
・これからの育児環境について
また、今までの実績だけではなく、今後も生活を維持し、子どもの利益を担保することが可能かという点も判断材料になります。
具体的には、引っ越しや引っ越しに伴う転校などは子どもの生活環境を大きく変えることになると判断されます。
以上が、父親が子どもの親権を取るためのポイントになります。
上記のポイントを満たしていることが大前提で、さらにそのことを主張し、立証することが求められます。
個人で、客観的な根拠を基にこれらを主張するのは難しいと言えます。
そのため、お困りの際は、経験豊富な弁護士に頼ることをおすすめします。
目黒総合法律事務所は、目黒区を中心に、東京都、神奈川県、埼玉県で幅広く活動しております。
電話相談及び面談相談は初回無料で承っております。
離婚に関してお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
離婚時に父親が子供の親権を取るためには
弁護士 押見和彦(目黒総合法律事務所)が提供する基礎知識
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