離婚すると、夫婦は法律上他人になりますが、子どもとの親子関係は継続されます。
そのため、たとえ親権がなくても同居していなくても、親である以上、養育費を支払う必要があります。
とはいえ、取り決めを行っていたとしても途中で養育費が未払い状態になることもあります。
今回は、養育費の未払い状態が続いた場合、遅延損害金は発生するか、また計算方法について考えていきたいと思います。
養育費とは?
養育費とは、経済的に自立していない子どもの養育や教育に必要な費用のことをいいます。
養育費の支払い期間は、子どもの進学先などによって異なりますが、高校卒業や、大学卒業までと取り決めることが多いです。
養育費の取り決めは、夫婦間の話し合いによって取り決められます。
折り合いがつかない場合には、離婚調停で話し合うことになります。
離婚調停でも養育費の取り決めがうまくいかない場合には最終的に審判で定められることになります。
なお、養育費は離婚後でも取り決められますが、話し合いの場を設けることが難しくなったり、元配偶者が連絡を拒否したりする恐れがあるので、なるべく離婚成立前に取り決めておくべきといえます。
未払いの養育費は金銭債権のため遅延損害金を請求できる
養育費の支払いが遅れた場合、相手方に対して「遅延損害金(遅延利息)」を請求することが可能です。
養育費は法的には金銭債権と位置づけられ、支払い期限を過ぎた時点から債務不履行とみなされます。
これにより、民法の規定に基づき、法定利率(通常は年3%)による損害金を請求できるのです。
たとえば、月5万円の養育費が1年遅れた場合、1500円程度の遅延損害金が発生します。
遅延損害金の請求は、未払いが慢性化している場合や、繰り返し遅延が発生している場合に有効な手段です。
特に、強制執行や差押えを視野に入れる際には、元本に加え遅延損害金を加算した金額を請求できることは大きな意味を持ちます。
ただし、損害金を請求するには、養育費の金額や支払期日が明確に合意・決定されている必要があります。
養育費の遅延損害金の計算方法とは?
養育費の遅延損害金は、法定利率に基づいて次の式で算出することができます。
■未払い額 × 年利率 × 遅延日数 ÷ 365日
なお、法定利率に関しては2020年4月より前に発生した未払い金に関しては、年5パーセントの2020年4月以降は年3パーセントで計算することになります。
まとめ
今回は、未払いの養育費の遅延損害金について考えていきました。
支払い時期を過ぎた養育費には、遅延損害金を請求することができます。
とはいえ、現実的に支払い側に資力がなく、請求しても支払ってもらえないという事態もあるので、慎重に考える必要もあります。
不安な場合には、弁護士に相談することをおすすめします。